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赤字法人である兄弟会社の吸収合併について①
更新日:2022年2月22日
社長が兄弟会社を設立する目的は、①社長が経営を委任した幹部の権限・責任の明確化や②損益管理の徹底、③異種事業への進出などが挙げられます。
しかし、当初の計画に反して業況が停滞する場合に、次のような状況に陥ることがよくあります。
・主力事業を持つ兄弟会社から支援を受けつつ事業を継続しているものの黒字の目途がつかないばかりか、赤字補填のために資金が流失している。
・主力事業を持つ兄弟会社の経理がバックオフィス業務を担うケースがあるがその多くは大きな負担となっている。
・幹部の育成が進まず、管理に比重が置かれ、経営戦略に時間を割けない。
この場合、グループ経営を一旦見直し、経営の合理化が必要です。その手法の一つとして吸収合併があります。吸収合併とは、会社が他の会社とする合併であって、合併により消滅する会社の権利義務の全部を合併後存続する会社に承継させるものをいいます。(会社法2条1項27号)
吸収合併の特徴として、株主・従業員の収容、権利・義務が包括的に承継(移転)されます。これは吸収合併を利用しないと、個々の権利・義務を全て1つ1つ移転させるこのになるのに対して、一体として承継させることで迅速な組織再編が行えるというメリットがあります。
吸収合併を行うことでオーナー社長は次の効果を得るための検討が可能です。
・欠損金を活用した所得の圧縮
・バックオフィス業務の合理化、効率化による負担軽減
規模が小さい兄弟会社ではオーナーが同一人物か、又は少人数の親族で営まれるケースが多く、合併の意思決定はスムースに進むケースが多いです。一方で、吸収合併を実施する上で考慮しなければならない法令等は次の通りです。
①会計基準
吸収合併を行う時に必要な会計処理は「企業結合に関する会計基準」「事業分離等に関する会計基準」「企業結合会計基準及び事業分離等に関する適用指針」があります。
②法令
(1)税法(法人税、消費税)
(2)会社法
次回以降でこれらの法令を読み解きながら吸収合併の手続きを解説していきます。
