- ハイフィールド税理士法人大崎事務所
役員給与 税務上の注意点
更新日:2022年2月15日
役員の給与は従業員の給与に比べて税法上の縛りが多いと思ったことがある経営者の方も少なくないと思います。
そこで、今回と次回以降で損金算入が可能となる役員給与のうち特に支給される機会が多い定期同額給与と事前確定届出給与を解説したいと思います。
1.損金となる役員給与の種類
役員給与のうち損金算入が認められるのものは以下の給与に限られます。ただし、以下の給与に該当したとしても、不相当に高額な部分については損金の額に算入されません。
⑴定期同額給与…その支給時期が1か月以下の一定の期間ごとである給与(以下「定期給
与」といます。)で、その事業年度の各支給時期における支給額又は
支給額から源泉税等の額を控除した金額が同額であるもの
⑵事前確定届出給与…役員の職務につき所定の時期に、確定した額の金銭等に基づいて支
給される給与で⑴及び⑶以外のもの。
⑶業績連動給与…法人が業務執行役員に対して支給する給与のうち利益の状況を示す指標
等により計算されるもので一定の要件を満たすもの。
2.定期同額給与
一般の従業員の給与が〇〇手当などにより毎月の支給額が異なっていても不相当に高額でなければ損金に算入することは認められますが、役員給与である定期同額給与は以下に記載する改定事由に該当しなければ、毎月同額でなければ損金に算入することは認められません。

⑴通常改定
事業年度開始の日から3か月を経過する日までにされる定期給与の額の改定

⑵臨時改定
その法人の役員の職務上の地位の変更等のやむを得ない事情(以下「臨時改定事由」と
いいます。)による定期給与の額の改定(⑴の改定を除く。)
臨時改定事由の例
・定時株主総会後の臨時株主総会によって社長が退任し副社長が新社長に就任した
・病気により職務が執行ができなくなった

⑶業績悪化改定
法人の経営状況が著しく悪化したこと等の理由(以下「業績悪化改定事由」といいま
す。)によりされた定期給与の額の改定(⑴及び⑵の改定を除く。)
業績悪化改定事由の例
・株主との関係上、業績や財務状況の悪化についての役員としての経営上の責任から役
員給与の額を減額せざるを得ない場合
・取引銀行との間で行われる借入金返済のリスケジュールの協議において、役員給与の
額を減額せざるを得ない場合
・業績や財務状況又は資金繰りが悪化したため、取引先等の利害関係者からの信用を維
持・確保する必要性から、経営状況の改善を図るための計画が策定され、これに役員
給与の額の減額が盛り込まれた場合

今回は、定期同額給与についてご紹介いたしましたので、次回以降に事前確定届出給与を
ご紹介いたします。
なお、改定事由については判断が難しい場合もございますので、その際は弊社にご相談ください。